今年もよろしくお願いします、小野マトペです。去年の10月、MacBook Pro 2018 13インチを購入しました。
MacBook Pro 2018 13インチ届いた。Early 2013 15インチを使い続けていたので電源含めて重量が40%が減って軽さがすごい。 pic.twitter.com/796gF6sihS
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年10月9日
今まで使っていた2013モデルでは性能重視で15インチを使用していましたが、今年のモデルはCPUのコア数が増え、13インチでも去年の15インチよりも高いCPUパフォーマンスが出るということだったので、モビリティのために13インチをチョイス。やっぱりノートパソコンは持ち運んでなんぼですね。軽くて最高。
13インチを購入するにあたって最後まで躊躇した要素はグラフィック性能でした。15インチには専用のdGPUが搭載されていますが、13インチは性能の低いiGPUしか搭載されていません。僕はたまに After Effects での動画制作作業をするので、この点はちょっと都合が悪かったです。
そこで目をつけたのがeGPU(外付けGPU)です。macOSではHigh Sierraから Thunderbolt 2/3 での eGPU 接続に対応したことで、Mac環境でのeGPUカテゴリが昨今盛り上がりを見せています。ともあれこれを使えば一台のMacを、外出時には軽量ラップトップ、自宅ではデスクトップレベルのハイパワーグラフィックマシンとして運用することができるため、今回検討しました。
GIGABYTE GAMING BOXを試すつもりだったのだが…
そういうわけで、調査の末に去年の年末に amzon.com で GIGABYTE GAMING BOX 580 を注文しました。これはRadeon RX 580 グラフィックカード組み込み済みで販売されているeGPUエンクロージャで、コンパクトさが際立つ一品です(eGPUはどれもけっこうなサイズなのです)。持ち運び用のバッグが付属しているなどモビリティが高いのもポイントです。一方、ファンが壊れてノイズが鳴るようになったとか、不快なコイル鳴きがあるとか、工作精度の点で不安なレビューも見られました。しかし、Amazon.comでの価格の安さ(本体$419に送料+Import Fee Depositで$56)とコンパクトさに惹かれ、注文することにしたのですが・・・
GigabyteゲームボックスRX 580?8?GグラフィックカードegPu ( gv-rx580ixeb-8gd )
- 出版社/メーカー: Gigabyte
- 発売日: 2018/04/12
- メディア: Personal Computers
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サンタさんからおもちゃが届きました。 #egpu pic.twitter.com/yuSSroXyud
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月24日
が、開封した製品がバッキバキに破損しており、そのまま返品となりました。残念・・・
GIGABYTE GAMING BOX RX580ファーストインプレッション
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月24日
・持ち上げるとカラカラ音がして中からプラスチックの破片とネジが落ちてくる
・カードが明らかに固定されていない
・電源プラグがなんか斜めになってる
…… pic.twitter.com/4FXe6BtQm0
破片の出元が分かった。カードスロット割れてるじゃん! pic.twitter.com/YvEwrg8rqU
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月24日
電源ユニットがひしゃげている。それに比べて外装の損傷は少ないので組み立て工程での事故かなー。 pic.twitter.com/lGOF0gnVjj
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月24日
じゃあ僕はこれから郵便局まで片道30分歩いてアメリカにeGPUを送り返してきますね。ロマンチック。
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月24日
GAMING BOXを返品し、もう一度同じ製品を注文する気にもならなかったので、改めてグラボとエンクロージャを選び直すことにしました。
グラボ
GAMING BOXのような一体型でない eGPU を使うためには、eGPUエンクロージャとグラフィックボードを用意する必要があります。エンクロージャごとに供給電力やカードサイズがあり、適合する組み合わせを選ぶ必要があります。 https://egpu.io というサイトは発売中のエンクロージャとグラボの詳細な情報やレビュー記事が掲載されており、製品選びの助けになりました。
Macで eGPU を使用するにあたって最も大きい制約は、GPUのメーカーです。ゲーム用のGPUとしてはnVidia製品の方がメジャーですが、Macは現在AMDのGPUしかサポートしていないため、AMD製品から選択することになります。nVidiaは記事執筆時点でMojave用のドライバーをリリースしておらず、High Sierra以前の環境でしか動作しません。
僕は Windows PC に詳しくないので今回初めてグラフィックカードを調べたのですが、現在AMDのグラフィックカードは、主に以下のラインナップのようです。ミドルレンジ〜ハイエンドのゲーミングPC相当の性能が欲しいのであれば、RX580, RX590, Vega56あたりから選ぶことになるみたいです。
- Radeon RX 570 (GeForce GTX970 と同じくらいの性能)
- Radeon RX 580 (GeForce GTX1060 と同じくらいの性能)
- Radeon RX 590 (GeForde GTX1060 より速いくらいの性能)
- Radeon Vega 56 (GeForce GTX1070Ti と同じくらいの性能)
- Radeon Vega 64 (GeForce GTX1080 と同じくらいの性能)
現在グラボは暗号通貨のマイニング需要や代理店のマージンにより国内での価格が高騰しているため、私は今回は Vega56 を実質35,000円程度( サンデーくじで入手したクーポン 3000円を使用)でネットオークションで入手しました。グラフィックカードは経年劣化しにくいパーツですし、中古市場で手に入れても良いと思います。amazon.com をのぞいてもいいかもしれませんね。
MSI Radeon RX Vega 56 Air Boost 8G OC グラフィックスボード VD6516
- 出版社/メーカー: MSI COMPUTER
- 発売日: 2017/12/22
- メディア: Personal Computers
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Razer Core X
次にeGPUエンクロージャですが、これは Razer Core Xを選びました。これは安価で、Vega56への供給電力も十分、USB-PDでMac本体への電力供給も可能、動作実績も豊富と堅実な機種ですが、とにかくデカいという製品です。
左端の一番でかいやつです。
eGPUはどれ買ってもでかい。(左からRazer Core X, 同V2, Node Pro, Breakaway Box, Gaming Box, BlackMagic eGPU. 比較用MBP15") pic.twitter.com/b0YTJkY6HU
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年9月28日
現物を見てあまりのデカさに笑う私。
Razer Core Xでかすぎて笑った pic.twitter.com/HahThZkLnw
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月20日
狭小住宅の住人としては設置性は重視したかったのですが、年末に大容量の本棚を導入したことでデスク周りの収納スペースに余裕ができたために導入を決意し、TSUKUMO eX.の地下のRAZERストアで税込35,424円から2,000円のTSUKUMOポイント割引を適用して購入しました。空間は正義。
うおおおデカい (Razer Core X) pic.twitter.com/o4Q5kudco7
— 小野マトペ (@ono_matope) 2019年1月6日
容積の暴力 pic.twitter.com/i9no0hI5MG
— 小野マトペ (@ono_matope) 2019年1月6日
Razer Core X付属の50cm Thunderbolt 3ケーブルで机の上のMacBook Proに接続するためにメタルラックの高さを調整している様子。ほぼ天板のすぐ裏まで上げないと届かない。 #eGPU pic.twitter.com/wNAlbRB6Vv
— 小野マトペ (@ono_matope) 2019年1月7日
なんとかデスク下のメタルラックに押し込めました。デカいeGPUも、どこか隠せる場所に設置できればなんとかなります。ただし Thunderbolt 3 アクティブケーブルは高価なので気をつけてください。
eGPUゲーミングに最適な Intel NUC Bean Canyon
さて、ここまででeGPUはセットアップできたのですが、ぶっちゃけGPUを酷使する作業は年に数回あるかどうかという感じなので、そのためだけにeGPUを導入するのは正直もったいないです。せっかくつよつよグラボを入手したので、これを使ってどうにかWindowsゲームでもできないか考えました。久しぶりにマウスでFPSがやりたい。PUBGとか俺もやりたい!
最初に考えたのは、eGPU を Mac の BootCamp から利用するアプローチですが、
- AMDのグラボを BootCamp で使用するにはブートローダの書き換えなどガチ目のハックが必要で、Macが不安定になるおそれがあるし、ブートローダの画面がダサい(耐えられない)
- 最近のPCゲームはサイズが数十GBと大きく、Mac の 256GB SSD の余りを Windows とゲームに与えるには心もとない。かといって 512GB へのアップグレードには4万円もかかる
という問題があるため BootCamp 案は却下し、ゲーム用にWindows PCを生やすことにしました。1台くらい WIndows マシンを持っておくと何かと潰しが効くだろうし。
PCの選定ですが、
- 内臓グラフィックカードは必要なく
- 代わりにeGPU接続のためのThunderbolt3コネクタを搭載し、
- CPUはミドルレンジ以上。
- 部屋が狭いのでコンパクトPCと言える筐体サイズ、
- コンソールゲーム機が4,5万のこのご時世、ゲームのためだけにそんなにお金をかけたくない…
というわがまま条件で探したところ、ひとつだけベストマッチな製品が見つかりました。それが Intel NUC Bean Canyon NUC8i5BEHです。
INTEL インテル i5-8259U M.2 SSDに対応 2.5" (9.5mm厚) HDD/SSDも搭載可能 ハイパフォーマンス小型ベアボーンキット BOXNUC8I5BEH
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NUC とは Intel が出している小型・安価なPCベアボーンキットで、本体の他に電源ケーブル、メモリ、ストレージを別途購入する必要がありますが、現行世代(Beran Canyon)の NUC8i5BEH は MacBook Pro 2018 13インチと同じ第8世代i5 CPU i5-8259U と Thunderbolt 3コネクタを搭載しています。しかもサイズは超コンパクト。これ、まさに eGPU ゲーミングマシンに最適なPCじゃないですか。
この製品を狙っていたところ、ちょうどPayPayの20%ポイント還元祭りの期間中に池袋のTSUKUMOで4.8万円で販売しているのを見つけたため、その場で購入しました。250GBのm.2 SSD(6千円)、16GBメモリ(1.6万円)、Windows10 Home Edition(1.7万円)、電源ケーブル(1千円) で合計9万6千円のところ、PayPayの20%ポイント還元で実質7.7万円となりました。
(Tweetのツリーに写っていますが、ついでに隣のビックカメラでLG 27UK850-Wも20%ポイント還元で買いました。これも大変良い4Kモニタです。ありがとうPayPay)
ついでにとなりのツクモ池袋店にフラッと寄ったら、以前から購入を計画していたBean Canyon NUC (BOXNUC8I5BEH)が安かったのでメモリ16GB/SSD250GB/Win10Homeの一式購入。合計96K円にPayPay適用で77K円。 pic.twitter.com/p5g2OpbGPo
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月13日
小さい!かわいい! pic.twitter.com/9gpgb6U88v
— 小野マトペ (@ono_matope) 2018年12月18日
かわいい!こんなに小さいのにCPUもメモリもSSDもほとんどMBP 2018 13と同じスペック。みんなが欲しかった Mac mini ってこういうやつでは?
セットアップには少し手こずって、Windowsをインストールしたところ有線LANも無線LANもドライバがないためWebからドライバがダウンロードできないという事態になりました。MacでIntelのサイトからドライバ一式をダウンロードしてUSBでコピーしましたが、他にPCがない人は注意が必要です。
完成!+ベンチマーク
というわけで、MacBook Pro, Intel NUC, Razer Core X, Vega 56 による軽量ラップトップ+ハイパワークリエイティブPC+WindowsゲーミングデスクトップPCシステムが完成しました。コンパクトさがすごくないですか(Razer Core Xをうまく机の下に隠せた場合に限る)。
ケーブルの差し替えはどうしても多くなるので、ケーブルマネジメントはだいじ。
さっそくベンチマークをとりましょう。まずは Mac で GeekBench 4 の Compute スコアを計測します。
MBP内臓GPU (Iris Plus 655) | eGPU (Razer Core X + Vega 56) | |
---|---|---|
Metal | 35,000 | 146,234 |
OpenCL | 35,238 | 140,855 |
4倍以上のグラフィックパフォーマンスが得られました。
次は NUC の Windows で 3DMark の Time Spy と Fire Strike を実行します。
スコア | 結果URL | |
---|---|---|
3DMark Time Spy | 5351 | https://www.3dmark.com/3dm/32565573? |
3DMark Fire Strike | 13214 | https://www.3dmark.com/3dm/32570334? |
結果ページによると 4KゲーミングPC と ゲーミングラップトップの中間程度のパフォーマンスと評価されました。安価な小型PCをベースに構成したシステムの性能としては上出来ではないでしょうか。実際に CoD:BO4 をプレイしていますが、HD解像度の最高画質で滑らかにプレイができています。BO4 たのしい!
静音性については、ゲームプレイ中はRazer Core Xのファンが強めに回転しますが、筐体ファン半径が大きいため音が低く、耳障りな音ではないです。
そういうわけで、
PayPayやクーポンを併用しましたが、eGPUセット(7万弱円)とNUCセット(7.7万円)をあわせて14万円で、eGPUをMac+Winで共有可能なゲーミングPC環境が構築できました。超コンパクトな設置サイズを考慮すると、なかなかコスパよく組めたのではないでしょうか。私のように、eGPU構成を検討しているMacユーザーの方は、Intel NUCを使ったサブマシン構成を検討してみるのもおすすめです。